何を見ても『同じ』にしか見えないパイロットにいい仕事はできない
科学の良心と、恋人リズの身の安全の間で板挟みになったヴァルターに、かつての上司、ランベール操縦士長は、「やりにくいことがあっても、その場に行けるのは『一度きり』だよ」と諭します。 「深海の珍しい生き物も、熱水が勢いよく噴き出すチムニーも、その場で出会えるのは一生に一度だ。もしかしたら、この数世紀のう […]
科学の良心と、恋人リズの身の安全の間で板挟みになったヴァルターに、かつての上司、ランベール操縦士長は、「やりにくいことがあっても、その場に行けるのは『一度きり』だよ」と諭します。 「深海の珍しい生き物も、熱水が勢いよく噴き出すチムニーも、その場で出会えるのは一生に一度だ。もしかしたら、この数世紀のう […]
商船学校の特別研修で初めて潜水艇プロテウスを目にしたヴァルターは深海に強く魅せられる。そこは暗く冷たい死の世界ではなく、生命に満ちた温かな揺りかごだった。父の面影を求めてヴァルターは潜水艇のパイロットを目指す。
潜水艇プロテウスの格納庫に赴く。そこには深海調査の実況で興味をもった小学生が見学に訪れていた。子供が苦手なヴァルターは渋々説明を始めるが、好奇心に目を輝かせる子供達と接するうち、海洋社会の未来に思いを馳せるようになる。
円環の海洋都市『リング』という画期的なアイデアを持ちながら、恐れと不安から自身に自信が持てないヴァルターに、上司で未来の義父でもあるアルは新しい価値観を受け入れ、何事もとことん考えてみることが人生を変えると助言する。
潜水艇の耐圧殻から深海調査の実況に挑むヴァルターは、実況に耳を傾ける子供たちに深海のダイナミックな地形や世界観を語り、生きることに懐疑的なゾーイに理由などなくても生きることの尊さを説く。
深海調査の視察に訪れたファーラー社長は「深海で何を目にしても、見て見ぬ振りをしろ」とヴァルターに迫る。科学の良心の狭間で揺れる彼に、元上司のランベール操縦士長は「その場に行けるのは一度きり」と宇宙の片隅の一期一会の大切さを説く。
深海調査が順調に進む中、一人のスタッフが画像データの改竄を指摘する。そこにはウェストフィリア島の真実が隠されていた。調査の出資者でもあるロバート・ファーラーは「深海で何を見ても見なかった振り」を強要し、ヴァルターは科学者の良心から反発する。
海洋調査が進む中、ファルコン・マイニング社のファーラー社長が視察にやって来る。自社の従業員もモノとしか思わぬ態度に、『わたしはマイニング社で働いています』と胸を張って答えられる従業員がどれだけいるのかとヴァルターは詰責する。
深海の調査が進む中、潜水艇の耐圧殻でノックス研究員が宇宙人コードについて尋ねる。宇宙の開発地で土着生物が発見された場合、何を保護し、何を見殺しにするか、人間の究極のエゴともいうべき法律だ。